第5章 脱毛症の要因|ルチアの育毛

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第5章 脱毛症の要因

脱毛の要因は主に5つ

脱毛の要因を大きく分類すると、

1.頭皮の汚れ
2.頭皮の肌荒れ
3.血行障害
4.薬害による脱毛(頭皮下の老廃物)
5.皮下組織の損傷(特殊要因=人災)


に大別される。(ただし、禿頭病(とくとうびょう)などの特殊なケースは除く)以下それぞれの原因と特徴を述べる。

1.頭皮の汚れ(毛母細胞の呼吸困難)

【原因】
●シャンプー回数の不足
●シャンプー時の洗い残し
●洗浄力の強いシャンプー剤を使用しての過度の洗髪によって引き起こされた皮脂の過剰分泌
●乾燥肌用などの洗浄力の弱いシャンプー剤の使用など
頭皮の汚れ
洗髪不足、あるいは抜け毛が怖いからと恐る恐る頭皮をなでるように洗う、髪の毛だけを洗うというような洗髪法の間違い等によって頭皮に酸化皮脂が堆積してしまった結果の脱毛症である。
また、大変矛盾しているように思われるが、皮脂汚れを徹底的に洗い落とすなどの洗浄力の強いシャンプー剤を使用しての過度の洗髪によって引き起こされた皮脂の過剰分泌もこのケースに含まれる。

なぜなら、洗浄力の強いシャンプー剤で皮脂を必要以上に取り除くと、かえって皮脂分泌が盛んになるからである(「皮脂は髪を護る大切な成分」参照)。
私たちの髪の毛の一本一本の毛穴にある皮脂腺は、皮脂を分泌する。皮脂は分泌されると、汗腺から分泌される水分と混合されて、髪と頭皮を乾燥などから護るための皮脂膜を形成する。
保護膜とも呼ばれるこの皮脂膜は、空気に晒(さら)されると時間の経過で徐々に酸化して髪と頭皮を保護する機能を失い、汚れとなる。
この汚れとなった酸化皮脂は、粘着性を持ち髪と頭皮にへばりつく。しかも、空気中のチリやホコリが付きやすくなるので、頭皮は汚れで覆われてしまう。
この汚れが放置されると大きな雲脂(フケ)になる。文字通り酸化皮脂と汚れが頭皮に雲のように重なった状態になる。私たちの目に見えるフケは、そのごく一部が剝がれ落ちたもので、そのほとんどが頭皮にへばりついているので、頭皮は呼吸(皮膚呼吸)ができにくくなる。すると、頭皮からの毛母細胞への酸素補給が不足し、毛母細胞は次第に弱ってゆく。
毛母細胞が弱ると、髪の毛は細くなり、抜けるようになる。つまり、

「皮脂の分泌」→「皮脂膜形成」→「時間の経過」→「皮脂の酸化=汚れ」→「チリやホコリが付着」→「汚れが重なる」→「毛母細胞の呼吸困難」→「脱毛」

となる。皮脂の分泌量が必要以上に多くなると、前述したような抜け毛の条件が揃いやすくなる。
くどいようだが、皮脂汚れを徹底的に洗い落とすなどの洗浄力の強いシャンプー剤を使用しての長時間の洗髪や1日に何度も洗髪することは、皮脂の過剰分泌を引き起こしてしまうので、絶対にやめるべきである。
また、毎日洗髪する人でも、洗髪法の間違いで頭皮の汚れをきちんと落とせないために、洗髪不足と同様の状態になってしまっている人も多い。

2.頭皮の肌荒れ

【原因】
●皮脂汚れを徹底的に洗い落とすなどの洗浄力の強いシャンプー剤の使用
●乾燥肌用・敏感肌用などの洗浄力の弱いシャンプー剤の使用
●シャンプー回数が多い
●爪を立てて洗う、ブラシなどで頭皮を洗う、長時間洗う等の間違ったシャンプー法
頭皮の肌荒れ
洗浄力の強いシャンプー剤と、洗浄力の弱いシャンプー剤を同列にするのはおかしいと思われるだろうが、これはたとえていうと、過食症と拒食症のようなものである。過食症と拒食症は全く正反対の現象だが、どちらも食のコントロールができなくなって発症する。
同様に、洗浄力の強いシャンプー剤や弱いシャンプー剤を使い続けると、どちらの場合も皮脂分泌のコントロールが利かなくなってしまう。その結果、髪が次第に細くなりやがて脱毛に至ってしまう。

洗浄力の強いシャンプー剤を使用して1日何度も長時間頭皮を洗い続けるなどとんでもないことである。
シャンプー剤を頭皮に塗り付けて長時間こすり洗うと、時には頭皮表面の角質までが洗い落とされてしまう。その結果、下記の「角化異常とは」のイラストのようなプロセスで角化異常(かくかいじょう)が引き起こされる。
頭皮を含む皮膚の表皮は、およそ28層で構成されており、そのうちの14層が角質である。角質は表皮細胞の一番下にあるマルピギー細胞から毎日一層生み出される細胞が日々に変化してつくられる。
マルピギー細胞によって毎日つくり出される一層の皮膚細胞は、形を変えながら表面に向かって押し上げられ、14日後に角質となり、その14日後に剝がれ落ちる。このサイクルを角化サイクルと呼ぶ。

人体の最表面にある角質は、およそ14枚の層をなしていて、異質物の侵入を厳重ガードしている。私たちの体は、バリアーゾーンとも呼ばれている14枚の角質層によって護られているのである。
この大切な角質が人為的に失われ続けると、マルピギー細胞は、非常なスピードで皮膚細胞をつくり、新たにつくられた細胞は猛スピードで角質へと変化する。
通常のメカニズムと異なる作業が長期間続くと、やがて角化へのプロセスに狂いが生じ、おなじ形をした細胞が重なったり、順序がとんだりしてしまう。この「序列異常現象」を私は「角化異常」と呼んでいる。
角化異常とは
その原因が、強過ぎるシャンプー剤の使用や、爪を立てて洗う、ブラシで頭皮を洗う、必要以上に頭皮をこすり洗うなど、間違った洗髪法にある。また、もともと皮脂分泌量の少ない女性に脱毛症が多くなったのは、意識的に乾燥肌用や敏感肌用などの洗浄力の弱いシャンプー剤を使用しているためでもある。この場合は、皮脂分泌の状態が拒食症に似た状態に陥り、数日おきにしか洗髪しなくても、頭皮が十分な皮脂膜で覆われなくなり、細かいフケなどが発生する。シャンプー剤は洗浄力が強過ぎても、弱過ぎてもトラブルのもとになる。

3.血行障害

【原因】
●急性ストレス(円形脱毛症、産後の脱毛症)
●慢性ストレス
●加齢
血行障害
血行障害による脱毛症は、急性ストレス性脱毛と慢性ストレス性脱毛とに分けられる。
急性と慢性では脱毛に至る過程と育毛完了までのプロセスが大きく違うので、この項ではそれぞれのパターンに分けて紹介させていただく。

(1)急性ストレス ー 円形脱毛症

急激で強いストレスを受けると毛細血管に絡(から)まっている神経が強く収縮してしまって、毛根から離れてしまうことがある。一度離れた血管はストレスが軽減されても元の毛根につながることはないので、その部分の髪の毛は、毛乳頭(もうにゅうとう)に蓄えられた栄養素がなくなると脱毛する。
つまり、脱毛がストレスに見舞われた直後ではなく、毛乳頭に蓄えられた栄養素の多寡(たか)によって1~3か月後に始まるが、円形に脱毛する場合が多いことから円形脱毛と呼ばれている。
そしてこの時間差ゆえに私の経験では、ほとんどの方が脱毛の原因がストレスであるとの認識がない。だから、原因不明の脱毛現象に軽いパニックを起こしてしまうようだが、慌てることはない。

ストレスが解消されると人体の保護機能の働きで(「髪の誕生」参照)髪の毛は早々に蘇生する。
頭皮に問題がなければおおかたの場合、3か月もすると脱毛の痕跡は跡形もなく消えてしまう。円形脱毛症は本人にストレスを受けたという自覚がない場合が多いが、それは恐怖体験をした方がその時の記憶が定かでないのと同じで本人の防衛本能がなせる業であって、実際は相当強いストレスになっていることを周囲に知らせる信号でもある。
急性ストレス ー 円形脱毛症

(2)急性ストレス ー 産後の脱毛症

女性だけに見られる産後の脱毛は、ひと言でいってしまえば、出産に伴う急激で強烈なストレスによる一時的な現象にすぎない。
新しい命をこの世に送り出すための想像を絶する強烈な痛みに、数時間、場合によっては数十時間も耐えて、時には死に瀕することさえもある出産は、壮絶な命のバトルでもある。産婦にとっては、日頃の生活では決して体験することのない、体力、気力の限界への挑戦でもある。

私自身も、出産を体験して、「家庭内で女性が強くなるのは当然だ。命のやり取りを経験した女性が強くなるのは当たり前で、世のおばさんと呼ばれる方々が怖いもの知らずなのもうなずける」と、思ったくらいである。
そのような壮絶な体験を経た産婦には、出産直後から育児が始まる。2~3時間おきの授乳、おむつ交換と、母体の状態など一切お構いなし、待ったなしである。
しかも、近頃の産婦のほとんどが、子守りの経験がない。その上、家族の食事、洗濯、掃除などの家事もある。

出産に伴うストレスだけなら、円形脱毛と同様のメカニズムで、産後の1~3か月後くらいから始まり、放置しておいても自然に解消される。
しかし、産後の脱毛の場合、脱毛現象そのものに対するストレスだけではなく、育児に対するストレスも加わって脱毛を促進させてしまうケースが多い。
産後の脱毛も、円形脱毛も、本人の言葉にできない訴えを周囲に知らせるための信号が形になって現れる。どちらの場合も本来なら放置しておけば、自然に、跡形もなく解消されるが、周囲の理解と協力、思いやりが脱毛解消の鍵である。

(3)慢性ストレス性脱毛症

慢性ストレス性脱毛は日々の生活の中での神経の緊張がもとで毛細血管が細くなり、毛根への十分な栄養供給ができないために引き起こる。
人にたとえると慢性的な栄養失調症のような状態といえる。何度も強調するが、髪の成長に必要な絶対条件のひとつが、血流によって運ばれる酸素と栄養素なので、健康な髪を維持するためには、毛細血管からさまざまな栄養素が酸素とともに毛母細胞に供給されなければならない。
慢性ストレス性脱毛症
私たちの体の中の血管には交感神経、副交感神経が絡まっていて、ストレスを受けると、この神経が収縮してしまう。強いストレスを感じた時などに胃が痛むのはこのためである。
髪の場合は、神経の収縮で毛細血管の血流が阻害され、毛根への栄養供給が不足して、次第に細くなりやがて脱毛に至る。これが慢性ストレス性脱毛である。この場合のストレスによる血管の収縮は年齢に関係なく起きる。そして慢性ストレスがもたらす脱毛症は、進行も極めてゆるやかだが、本人の体質や生活環境などと密接な関連があって、回復までの時間が予測できないケースでもある。
しかし、私の経験では、若い方などは案外早く、その方本来の毛量をとり戻している。

(4)高齢者性脱毛症

老化などに伴って毛細血管の機能低下が起き、毛根や毛母細胞へ充分な栄養供給ができなくなった場合や、加齢によって血管壁にコレステロールなどが蓄積されてしまい、毛根への栄養供給が不足して髪が栄養失調に陥り、次第に細くなり脱毛に至ってしまう脱毛症である。

また、高齢者性脱毛の多くの方が最初に挙げた洗髪不足による頭皮の汚れを併せ持っているのも特徴のひとつである。
高齢者性脱毛症
私の経験と独断でいうと、正しいシャンプー法で毎日シャンプーしていると、頭皮の毛細血管壁にコレステロールなどが蓄積される可能性が低くなるようだ。
どうやらシャンプーのたびに頭皮を強くこすり洗うので、毛細血管壁に汚れが留りにくくなるようである。
高齢者性脱毛も、慢性ストレス性脱毛も、毛根の栄養不足が要因なのだから、毛母細胞への栄養補給を目的とした育毛剤などで栄養補給を絶やさなければよい。
ただそれだけでよいのだから、育毛用の器具や薬剤などは必要がない。逆に薬剤などを摂取すると薬害による脱毛がプラスされてしまい、回復困難な脱毛症となってしまう。
 

4.薬害による脱毛(頭皮下の老廃物)

薬害による脱毛は近年非常に増えてきていると感じており、ここで述べる内容は長くなるが、とても重要な内容と考えているので、ぜひお読みいただきたい。
次に挙げる、いずれかに当てはまる方は薬害が要因のタイプである。

1.病などで、痛み止めなどの常用薬が手放せない。
2.皮膚炎などで、塗り薬を使用している、または常用していたことがある。
3.サプリメントや健康食品を常用している。
4.湿布薬を使用する機会が多い。
5.睡眠導入剤などを飲用している。


時の流れが人々の生活習慣を変えるに従い、私のもとを訪れる相談者たちの髪と頭皮の状態にも大きな変化がみられるようになった。
 
殊にサプリメントなどの普及に伴う薬害による脱毛の急増に、強い危機感を覚えている。サプリメントは処方薬とは違い、消費者が自己判断でいくらでも摂取できてしまうためである。
何度も繰り返し強調するが、髪の毛の根源的な役割のひとつが、体内で消化しきれず、かつ大小便などでも排泄しきれなかった毒素や老廃物を体外に運び出すことである。
薬害にあった人の頭皮の状態
したがって、薬物やサプリメントなどを摂取していない方でも、頭皮下に排泄しきれなかった老廃物が徐々に蓄積されて抜け毛が始まる。また、この老廃物が加齢臭のもとになってしまう場合も多々ある。

『確実に利くハゲ治し理論』出版当時にも極めてまれな事例として薬害による脱毛があったが、今や当社を訪れる相談者のほとんどの方が薬害の兆候を併せ持っているといっても過言ではない。しかしご本人たちにその自覚が全くないのだから困ってしまう。
「病の治療目的で服用した薬が原因で、脱毛症になった」という言葉を、にわかに信じる方は少ないかもしれないが、これはまぎれもない事実であり、薬の服用からも脱毛症を招くのである。
漢方薬を含むすべての薬は「毒を以(もっ)て毒を制するもの」であるのだから個体の受容範囲を超えれば当然引き起こされる現象である。

2018年、厚生労働省研究班は、別件についての結びとしてだが「市販薬でも大量に服用するなどの誤った使い方を続けると、中断した際に感情的苦痛に襲われて、やめられなくなり、生活が破綻する恐れがある」と警告している。それほど必要以上に医薬品を摂取するのは危険な行為なのである。私たちはすべての薬は毒を以て毒を制するもので、たとえ風邪薬であっても、多量に服用すれば時には死に至るという事実をしっかり認識しなければならない。
ニキビや吹き出物治療の目的で処方される塗り薬や飲み薬も同様であり、そのために医師は必ず「用法、用量の厳守」などを言い渡す。
なぜなら、たとえ塗り薬であっても皮膚から浸透し、配合成分の一部は血液中に溶け込み、血流にのって体の隅々にまで運ばれる。このメカニズムを経皮吸収と呼ぶ。
それらの成分が、体外に排泄されきれず、残留する場合がある。
そして体内に留まったこれらの残留成分は、時として深刻な副作用をもたらす。
脱毛現象はその一例にすぎない。

このように書き進むと医薬品でなければよいのでは? と思われがちだが、特定成分の過剰摂取現象はサプリメントや健康食品などの長期摂取によっても引き起こされる。
人は、たとえば肉や魚など特定の食品を食べ続けると飽きを覚えるが、この飽きは、もうその栄養素は足りているという体からの信号で、おおかたの場合その時点でそれらの食品の摂取が中断されるか縮小されるが、特定の栄養素が凝縮されたサプリメントや健康食品にはそれがない。
つまり、無意識に特定成分を過剰に摂取してしまうことになる。一般に「薬」といえば生薬を除いた製剤を連想されるが、薬草も「毒を以(もっ)て毒を制する」ものであることを理解していただきたい。

たとえば、古くから「医者要らず」の異名で知られるアロエは、すり傷、やけどなどの外傷のみならず、胃腸薬としても抜群の効果を発揮する、「一家に一鉢」は備えておきたい万能植物ともいわれている。
だが、このアロエでさえ「育毛効果がある」と信じて毎日頭皮に塗り続ければ、本来の薬効成分が余剰成分となり、徐々に毛母細胞を弱らせ、脱毛症を確実に進行させる。さらに乱用すれば皮膚の抵抗力が低下し、自然治癒力まで弱らせてしまう。
体内の残留物が蓄積
アロエは妊婦が摂取すれば流産を引き起こす怖れもあるくらい、作用の強い「毒草」でもあると認識すべきである。
私たちは、自然界に繁茂(はんも)する薬草といわれるものであっても、用途を間違えると毒草になってしまう事実を、しっかりとわきまえなければならない。

あらためて強調したい。私たちの頭部を覆っている髪の毛は、急激な温度差や衝撃から脳を護る役割の他に、体内に入り込んだ毒素などを排泄する役割も担っているので、頭皮下には、髪の毛とともに体外へ排泄されるべき「毒素」も集められる。
そのため、習慣的に薬剤や健康食品などを飲み続けた方の頭皮下には、驚くほど多量の不純物(老廃物)が集積されている。
これらの不純物は、本来なら、成長する髪の毛とともに体外へ排泄されるはずだが、集積される量が排泄機能を上回ると、頭皮下に蓄積されてゆく。
この蓄積された不純物は、毛母細胞にとっては正真正銘の毒素であり、髪の毛の成長を阻害するばかりか、深刻な脱毛症を発症させてしまう。そして、その後の発毛・育毛までも非常に困難な状態にしてしまうのである。

5.皮下組織の損傷(特殊要因=人災)

【原因】
●頭皮を叩く
●高周波などの電気をあてる
●育毛剤浸透器具などを使用する

第9章の「やってはいけない育毛法」で、詳しく述べるが、頭皮を叩く、高周波などの電気を当てる、育毛剤浸透器具などを使用するなど、間違った情報をもとに見当違いな努力の結果、表皮と頭骸骨の間にあるさまざまな皮下組織が損傷してしまっている方も多い。
当社が運営するサロンには、他の育毛サロンなどで間違った手入れを施され、なおかつ、自宅でも育毛器具などを使用して皮下組織が損傷した状態でお見えになる相談者も多いが、中には、皮下組織がケロイド(ひどいやけどの跡のように皮膚組織が変質した状態)化してしまった方もいる。
そんな方の頭皮を拝見するたびに、私はやり場のない憤りを覚えてしまう。

たとえば、植木鉢やプランターなどで、花や野菜を育てる場合、土の質と量によってその成長が大きく違ってくるように、髪の毛の成長も皮下組織の健康状態に大きく左右される。植木鉢が浅くて土の量が少ないと、花が成長できないように、髪の毛も皮下組織が傷んでいるときちんと成長できないで、脱毛してしまう。
髪の毛には体内に残留してしまっている老廃物を体外へ運び出す役割があるため、人が生きている限り生え続ける仕組みになっているが、さすがに皮下組織が破壊されつくした状態では肉眼では確認しづらく、スコープ(頭皮面を拡大して見ることができる機器)を通してはじめて確認できる程度の毛しか生え出ない。

そんな方の頭皮に、スコープを通して頼りなげに揺れる生まれたばかりの細く透明なうぶ毛を確認するたびに、私は言い知れぬ感動を覚えて、私たちの体に備わっている素晴らしい自然治癒力に感謝せずにはいられない。
このうぶ毛が無事成長毛に育つことを願わずにはいられないが、前述のように毛根を受け入れる皮下組織が十分でない頭皮では育ちきれない。
この場合は、

発毛 → 微妙な育毛 → 脱毛 → 発毛 → 少し育毛 → 脱毛 → 発毛 → 前より育毛→ 脱毛 → 発毛 → 前よりもさらに育毛 → 脱毛

が繰り返されながら育毛される。
植物の場合
毛髪の場合