第1章 発毛剤成分の危険性について|ルチアの育毛

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第1章 発毛剤成分の危険性について

ミノキシジル解禁!!市場に出回る「発毛剤」

2018年、それまでは大正製薬でしかできなかった血管拡張剤ミノキシジルの育毛剤への配合が、特許切れに伴って他社でも製造できるようになった。
それに伴って、ミノキシジルが配合された育毛剤が「発毛剤」のうたい文句とともに多数売り出されるようになった。
本書で詳しく述べていくが、髪の毛には排泄の役割もあって、人が生きている限り生え続ける仕組みになっている。したがって発毛剤など無用の代物である。それなのにこの厳然たる事実を無視して、現在の日本では血管拡張剤ミノキシジルを配合した製品が「発毛剤」として売ることができるのである。

ここに、私が1999年に出版した『確実に利くハゲ治し理論』(たちばな出版刊)中に「『リアップ騒動』の背景」と題してミノキシジル配合の発毛剤の危険性を訴えた文章を加筆修正することなくそのまま掲載する。
これが20年前のものであることをご理解の上お読みいただきたい。

【大正製薬が新製品として売り出した育毛剤「リアップ」が、いま大変話題になっている。
平成十一年五月二十日付け日本経済新聞の記事によると、「大正製薬が施した臨床実験では、六ヶ月使うと全体の七十二・二%に脱毛が減るなどの効果があり、七・三%は毛髪が生えるなど顕著な改善がみられたという。
ただ、効果があるのは壮年性脱毛症のみ。円形脱毛症などは対象外で、女性や二十歳以下の男性も国内でのデーターはない ―――」とある。
この記事に、脱毛症で悩んでいる壮年者が興味を示した。
日本経済新聞の記事を推論すると、発毛・育毛は至難なことで、しかも多くの化粧品メーカーが出している育毛剤には効き目がなく、製薬会社の新製品だから今度こそ「本物」の育毛剤が出たという期待感をいだかせた。

膨大な宣伝費を使い、売らんかなの姿勢で新製品を次からつぎと発表する大手化粧品メーカーの育毛剤に育毛効果が期待できないのは事実であるが、発毛・育毛のメカニズムを研究する者にすれば、「女性や二十歳以下の男性はもとより、円形脱毛症も対象外で、効果があるのは壮年性脱毛症のみ」という発表には頷けない。
なぜなら、発毛・育毛のメカニズムは男も女も同じであり、また年齢によって変わるものでもないからである。
リアップは有効成分として血管拡張剤が配合されており、説明書によれば、心臓や腎臓、血圧、むくみなどに影響をおよぼす可能性があり、頭痛、体重増加などの副作用が表われる可能性があるという。しかも六十五歳以上の男性は国内での使用経験がないので、使用前に医師または薬剤師に相談する必要があるとうたっている。
発売されておよそ五カ月後の十一月十日、NHKニュースをはじめ新聞各誌が厚生省通達として「リアップ」の副作用を一斉に報じ、消費者に注意を促した。当然だと思う。】

ここまで主に「リアップ」報道を中心に書いた。
高血圧治療薬の副作用として多毛症が報告されたことがきっかけで、育毛剤に配合されたミノキシジルは、その他にも循環器系の異常として、血圧低下、心拍数増加、心筋梗塞などを引き起こす可能性が懸念され、発疹、かゆみ、かぶれなどの皮膚異常、頭痛、めまい、胸痛、原因不明の体重増加、手足のむくみが現れる可能性があると厚生労働省が注意を促している代物であることを、各メーカーはどのように捉えているのか知りたいものである。
しかも、この危険なミノキシジルが増量された商品が出回っているのだからあきれてしまう。
現実に近頃はミノキシジル配合の育毛剤に起因すると思われる頭皮トラブルの相談者が急増している。

また、当時の育毛剤事情についても次のように書いた。
【少し前までは「脱毛症はホルモンの関係」と消費者が信じ込んでいるのを利用し、育毛剤の中に安易にホルモン剤を配合したメーカーもあった。
ある種のホルモンが人為的に体内に入り込むと、本来個体が持っているホルモンとのバランスが崩れ、さまざまな障害を引き起こす。ホルモン剤による副作用である。(中略)
また一方、消費者の間に「育毛=漢方」の神話が浸透しているのを利用して、育毛剤の中に漢方薬を配合して売り出すメーカーも多い。
育毛剤の中に漢方生薬を配合するのも間違いではないが、メーカーのなかには、育毛剤の中に配合する漢方成分を、育毛の効果を基準にして選ぶのではなく、漢方を強調する匂いによって選んでいる傾向が多分にある。
「スキッと爽快な育毛剤」も「漢方薬入りを強調する育毛剤」も、単に効果があるような錯覚を抱かせる演出でしかないし、そんな育毛剤が効果を発揮するはずもない。(中略)
しかし毛髪の発毛・育毛は、「全く髪に関係ない場所に毛を生やすのではなく、生来髪の毛があったところに髪を再生させるだけでよい」のだから、さほど難しいものではない。
メーカーが発想を「発毛・育毛など出来るわけはないので、消費者に効果があるように錯覚させる商品をつくる」から「生来髪の毛があったところに髪を再生させるだけでよいのだから、確実に効果のある商品をつくる」へ変換すれば、髪に悩みをもつ人たちの救世主になるような商品は簡単につくれる。発毛・育毛は容易なのである。】

以上である。
ミノキシジルの危険性と当時の育毛剤についての疑問を、皆さんにおわかりいただきたいという思いが込められた内容なので、本書で紹介するには少々時代遅れの感が否めないと考えつつも、あえて紹介させていただいた。

その他にも、近年抗がん剤などの副作用で髪が黒くなったなどという事例をもとにつくられた育毛薬も誕生している。

近年私のもとへはそれらの育毛薬に起因すると思われる「薬害脱毛」の相談者も増え続けている。
その相談者の方のほとんどが脱毛予防が目的だったという。嘆かわしいことである。
脱毛予防を目的に医薬を用いるなど、見当違いも甚だしい。詳細は後述するが脱毛予防は、良質のシャンプー剤を用いて髪と頭皮のその日の汚れをその日のうちに洗い落とし、コンディショナーを用いて頭皮のコンディションを整えるだけで十分である。毒を以(もっ)て毒を制する薬の副作用を利用した育毛薬など使用する必要もない。