第3章 使ってはいけないシャンプー剤|ルチアの育毛

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第3章 使ってはいけないシャンプー剤

洗浄力の強いシャンプー剤の危険

髪の悩みの深さは当人でなければわからない。他人から見れば、なんでもないようなトラブルでも、当人が受ける衝撃の度合いははかりしれない。
私は、今から十三年前のある日、自分の前髪が、いつの間にか白くなっていることに気づいて愕然とした。鏡の前で前髪を手櫛でかきあげたところ、生え際の一部が白髪に変わっていたのである。
同年代の友人たちの間では、この数年前からすでに白髪が話題に上っていたが、いざ自分がなってみると、たった数本の白髪に驚くほど大きな衝撃を受け、たかが白髪ごときにこれほど動揺してしまっている自分に困惑した。これが、私がヘアケアに興味を持った瞬間であった。
蛇足だが、現在も黒髪を維持していられるのは『髪と肌の成分は同じ』という、エステティシャンとしての知識があったおかげと、わが来し方に感謝している。
年齢を重ねるにともない、誰もが避けられない白髪でさえこうなのだから、「自分の髪の毛がなくなってしまうのではないか」という不安にとらえられてしまった方の焦り、心配、苦悩は、想像以上であると思う。
弊社のモニターや相談者の話を総合すると、健康であった髪と頭皮が間違った手入れ(ケア)によって傷められ、その果てに脱毛症を引き起こしてしまうプロセスが明らかになる。
周囲のなにげない言葉などで脱毛不安にとらえられた方が最初に実行するのが「育毛の大敵」と宣伝されている頭皮の皮脂を取り除く行為として洗浄力の強いシャンプー剤の使用である。
その結果がどうかというと、なぜか以前より皮脂の分泌が多くなる。そこで、さらに強力なシャンプー剤を探し求めては使用する。すると、これも初めの数日間は効果がありそうに思えるが、そのうち脂性はますますひどくなる。さらにより強いシャンプー剤を模索して……と悪循環を繰り返すうち、次第に髪は薄くなり、気がつくと脱毛症になってしまっていた。
以上が弊社を訪れる大多数の方々に共通した体験である。

私たちの身体を乾燥などのトラブルから護っている保護膜(皮脂膜:皮脂+水分)を形成させるために分泌される皮脂は、分泌されて空気にさらされると、やがて酸化する。酸化した皮脂は粘着力を持ち、空気中のチリやホコリを呼び込む。
この酸化した皮脂や汚れを取り除くのが、入浴、洗顔、シャンプーの最大の目的であり、風呂上がりの顔が突っ張るのは、皮脂が取り除かれてしまったために起こる現象である。
皮膚から保護膜(皮脂膜)がなくなると、人体の保護システムに従って、猛烈な勢いで皮脂が分泌され、皮脂膜が形成される。顔の突っ張りがじきに治まるのはこのためである。
洗浄力の強いシャンプー剤を使用して、皮脂を必要以上に取り去ってしまうと、分泌される皮脂も必要以上に多くなるわけだが、これを繰り返すと、分泌量はますます多くなり、限界にまで達すると、反対に全く分泌されなくなるなど、皮脂の分泌量に狂いが生じてくる。そうなると、頭皮に細かなフケや、湿疹が発生する。
こうしたプロセスを経て、脱毛症を発症させる条件が整えられるのである。
皮脂の分泌
つまり洗浄力の強過ぎるシャンプー剤を使い続けると、確実に脱毛症になってしまうわけで、絶対に使用してはいけないのである。
ちなみに、洗浄力の強いシャンプーで皮脂を取り過ぎた場合にあらわれる現象がある。それをおおまかに記すと、次の4点になる。
  1. ①シャンプー後、リンスやコンディショナーを使用する前の髪を触ると、きしみを感じる。きしみ感は、髪と頭皮からのSOSである
  2. ②使いはじめておよそ一週間もすると、髪がパサパサする。パサパサ感は、やはり、髪と頭皮からのSOSである。
  3. ③毎日使用しているうちに、髪に縮れがあらわれる。縮れも髪と頭皮からのSOSである。
  4. ④皮脂分泌が次第に多くなる。これも、頭皮からのSOSである。
ヘアケアの基本はシャンプーであるが、使用するシャンプー剤は、しなやかで効果のあるものを、慎重に選択しなければならない。

髪と頭皮を傷める石けんシャンプー

弊社には、毎日たくさんの方から、さまざまな質問が寄せられる。なかでも多いのが、ご自分が使用したいと考えているか、あるいは使用中である市販のシャンプー剤や育毛剤についての問い合わせである。
そしてそのような相談者の方々からは、毎日のように他メーカーの新製品に対するコメントを求められる。しかし際限なく売り出される新製品を、一つひとつ試用テストするのは物理的に不可能であり、意見をいえる立場にもない。さらに私は、良心的なヘアケア製品を扱う小さな会社を営む者で、商品の評論家でもない。この点をご理解いただいて、他社製品の効能に対する私見は、差し控えさせていただいている。
前置きが長くなってしまったが、石鹸シャンプーをご使用になっている方の相談がかなり多いので、弊社を訪れた相談者の一例をここに紹介する。
頭皮全体が赤く変色していて、髪に全く艶のない四十代の男性が、かゆみを訴えて相談に来られた。非常に見識が高く、大手企業の役員をされている方であった。お話を伺ったところ、長年抜け毛に悩まされていたそうで、数ヵ月前から、知人にすすめられて石鹸シャンプーを愛用されているのだという。
ご本人は、「とても調子がよいので、石鹸シャンプーに問題があるとは思えない」と強調されたが、髪と頭皮の状態が、その思い込み違いを証明していた。
石鹸シャンプーは、脱毛症に悩む方たちの間で、なぜか『もっとも安全なシャンプー剤』だと思われているが、これは大きな誤解で、私はむしろ大変危険なシャンプー剤だと考えている。
石鹸は、動・植物性油脂と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を主成分にした、アルカリ度が高く、洗浄力の非常に強いシャンプー剤である。石鹸には、固形、粉末、液状のものがあり、この液状のものと粉末を加工したものが石鹸シャンプーである。石鹸シャンプーはアルカリ度が高く、非常に強い洗浄力を発揮する。洗浄力の強いシャンプー剤の危険性についてはすでに述べたとおりである。石鹸シャンプーが育毛によいという説は、単に「合成洗剤がよくない」という逆説からひねり出された俗説に過ぎないようで、私の経験からいえば、石鹸シャンプーは、決して安全なシャンプー剤とはいえない。
また『自然成分あるいは天然成分をセールスポイントにしているシャンプー剤は安全』といった根強い風説もあるが、たとえば、猛毒で知られるトリカブトや毒キノコも、天然自然のものであることを考えればわかるように、自然のものだから安全と短絡的に思い込むのは、非常に危険であるといえる。天然自然成分のみで作られたシャンプー剤であれば、無条件によいともいえないことを理解していただきたい。

殺菌シャンプーは自殺行為と同じ

世間には、脱毛症の原因に対するさまざまな俗説がはびこっていて、その中には、『頭皮に付着する細菌』説まであるのだから、驚いてしまう。
このとんでもない俗説に従って、殺菌効果のあるシャンプー剤が売り出されていて、これも好調な売れ行きだという。
そして弊社には、殺菌効果のあるシャンプー剤を使い続けて、頭皮の雑菌に対する抵抗力が弱まり、深刻な脱毛症を発生させてしまった方たちの相談も増えている。
地球上にはたくさんの微生物がおり、その中には、人に害を及ぼすものも多く、空気中には常にそれらの菌が浮遊している。極端ないい方をすれば、私たちは常に細菌に包囲されているといってもよい。
それらの菌を体内に入り込ませないために、私たちの身体は一枚の大きな皮膚で覆われており、頭皮を含めたこの皮膚には、『常在菌』と呼ばれるたくさんの菌が生息し、皮膚についた雑菌を食べ、私たちの身体を護ってくれている。
私たちの身体は、常在菌に護られているのである。はかり知れない生命の神秘現象といえる。
これらの常在菌は、非常に生命力が強く、普通の入浴や海水浴など、温冷水にさらされたぐらいでは死滅しない。
しかし、殺菌効果のあるシャンプー剤を使い続けると、私たちの身体を護っている生命力の強い常在菌も、打撃を受けて徐々に働きを弱めてゆき、中には死滅してしまう菌もある。
殺菌効果は、悪玉のばい菌だけでなく、善玉の常在菌にも影響を及ぼしてしまうのである。
そして、常在菌が弱わり、雑菌に対して抵抗力がなくなった頭皮には、当然のことながら雑菌の繁殖力が増す。
つまり殺菌効果のあるシャンプー剤を使用し、大切な常在菌にまでダメージを与えてしまうと、頭皮はばい菌に対して、無防備な状態になり、その結果、炎症が起きやすくなる。しかも頭皮に炎症が起きると、必然的に抜け毛が増えてしまう。
殺菌効果シャンプー

私の経験と独断でいえば、シャンプー剤は、頭皮の汚れを落とすためのものなのだから、殺菌効果のあるシャンプー剤など使う必要はない。さらに、脱毛症の直接原因は、決してばい菌ではないのだから、もうそれだけで、脱毛予防のために殺菌シャンプーが不必要であることはおわかりいただけると思う。
脱毛症を回避したいのであれば、殺菌効果のあるシャンプー剤を使ってはならないし、殺菌効果のあるシャンプー剤を使うと、かえって抜け毛が増えてしまうという結果になりかねない。

フケ用シャンプー剤は脱毛促進

電車の中などで肩にフケを散らした方を見たとき、不潔な印象を覚えたという経験をみなさんもお持ちだと思う。一分のスキもないオシャレも、それだけで台無しである。
フケには、大きなものと小さなものがあり、大きなフケを漢字で『雲脂』と書く。文字通り、雲のように重なった脂という意味で、洗髪不足などが原因で頭皮に積もってしまった酸化皮脂が、剥がれ落ちてフケになることからこの字が使われているが、今日のように、衛生設備が整っていなかったころのフケの発生原因が、頭皮に積もった汚れだったことから、この字になったと思われる。
この雲脂を顕微鏡などで観察すると、無数のばい菌が確認できる。汚れのカタマリなのだから、きわめて当然なことであるが、この事実から、フケ用シャンプーとして市販されているほとんどのシャンプー剤には、殺菌剤が配合されている。つまり、ほとんどのフケ用シャンプー剤は殺菌シャンプー剤であると考えて間違いない。殺菌シャンプー剤の危険性についてはすでに述べたとおりである。
一方、洗髪不足などから発生する大きなフケとは全く逆な原因で発生するのが、小さなフケである。小さなフケは、洗髪時の皮脂の取り過ぎによって引き起こされた肌荒れが原因で、皮膚の一番外側にある、大切な角質が剥がれ落ちてしまったものである。この小さなフケは、ほとんどの場合、シャンプー剤の選択ミスが原因である。
このように、全く逆の原因で発生してしまった大小のフケだが、どちらの場合も、放置しておくと深刻な脱毛症につながる。

まれに、毎日洗髪しているのに大きなフケが発生する方もいるが、そんな方の頭皮は、洗髪していてもきちんと洗えていない場合がほとんどである。
こんな例もあった。ひどいフケ症で弊社に相談にお見えになった方であるが、長らくフケ用シャンプーをご使用になっていたというこの方の頭皮は、すでに脱毛がはじまっており、全体に小さなフケと、細かな湿疹があった。特に、耳の後ろと首の上は、目を覆うばかりに大きなフケが発生していた。
この方は、シャンプーのたびに毎回五分以上も頭皮をもみ洗いしていたのであるが、後頭部(首の上)だけ、ほとんど洗われていなかったために起きた現象であった。弊社のシャンプー剤をお勧めして、正しい洗髪法を実行していただいたところ、一週間後に「フケが出なくなった」との報告をいただいた。
大小どちらのフケも、肌によい成分で作られたシャンプー剤を使用して、毎日正しく洗髪すれば、いとも簡単に解消するので、特別にフケ用シャンプーを使用する必要はないし、むしろ殺菌効果のあるフケ用シャンプーは、決して使用してはならない。
そしてフケはまれに、カブレ、皮膚炎などが原因で発生する場合もあるが、そのような場合は、医師や確かな専門家の指導に従ってシャンプー剤を選択すべきである。
しかし、独断と偏見で申し上げれば、カブレ、皮膚炎などの原因も、おおむねシャンプー法の間違いやシャンプー剤の選択ミスによって発生したものである。