薄毛は人災

第1章 これだけは知っておきたい髪の基礎知識

1.薄毛は人災

 髪の毛には特別な手入れが必要と思われがちですが、実は特別な手入れなどしなくても髪は自然に育つ仕組みになっています。
 薄毛予防と考えて、育毛剤を使用する必要はありません。
 丈夫な血管から供給される酸素と栄養素に加えて、清潔ですこやかな頭皮の呼吸によって補給される酸素があれば、髪は自然に育ちます。
 薄毛予防のために育毛剤を使用するのは、風邪を引いてもいないのに、風邪薬を飲むようなものです。
 間違ったヘアケアさえしなければ、人は薄毛にならないのです。
すこやかな頭皮

2.髪は生え替わる

 髪の毛には寿命があります。伸び続けて歩行の邪魔にならないために、その人の腰のあたりまで伸びると成長が止まり、抜け落ちます。寿命がきた髪が抜け落ちると同時に、新しい髪が生える仕組みによって、人の髪は常に同じ本数(約10 万本)を維持できることになっています。
 この髪の生え替わる仕組みを毛周期と呼び、毛周期は人によって5 から1 0 年と言われています。たとえ途中で髪を切っても毛周期は変わらず、毎日平均5 0 〜7 0 本の髪の毛が生え替わります。抜け毛が発生するのは自然なことなのです。
髪の寿命について

3.皮脂は大切な成分

 育毛の大敵といわれている『皮脂』は、実は人体にとって、なくてはならない大切な成分です。
 頭皮を含む私たちの身体は、1 枚の巨大な皮膚でスッポリと覆われていて、その皮膚を乾燥などのトラブルから護るために、皮脂穴(皮脂腺)から分泌された皮脂が、汗穴(汗腺)から分泌される水分と混じり合って、保護膜と呼ばれる皮脂膜を形成します。この働きは全身にわたって行われており、頭皮も例外ではありません。皮脂は、私たちの身体を乾燥や肌荒れなどから保護するために、全身から分泌されている大切な成分です。
 皮脂は薄毛の原因ではありません。
育毛になくてはならない成分・皮脂

4.髪は脳の守り神

 私たちの身体の中で、骨によって完全に護られている器官は脳だけです。脳はそれほど大切な器官なのです。
 およそ10 万本という膨大な数の髪の毛は、互いの間に空気をとどめて、その脳を急激な温度差や衝撃から護る役割も担っています。
 このように大切な脳を護る役割も担っている髪の毛は、本来、人体にとってなくてはならないものなのです。
髪の役割

5.髪は老廃物を排泄している

 体内で消化しきれなかった、毒素などを含む老廃物は、血流に乗って頭皮の下に集結し、髪に取り込まれて、体の外に運び出されます。
 毒物による犯罪捜査で、髪の中に含まれた成分によって使用された毒物が特定されるのはこのためです。
 人が生きている限り、老廃物は発生します。したがって、生きている限り、髪は老廃物を排泄するために生え続けます。
 ですから、特殊な病でなければ、髪がなくなってしまうことはありません。
 老廃物の量が多くなりますと、髪をつくり出す毛母細胞の働きが悪くなり、髪の成長の妨げになりますが、髪がつくり続けられることに変わりはありません。
髪は老廃物を排出している

6.薄毛の4大要因

 本来ならなくなるはずのない髪の毛が、細くなったり育たずに抜け落ちてしまう薄毛の要因をおおまかにあげると、次の4つに大別されます。

①頭皮の汚れ

 髪の成長に必要な条件は、酸素と栄養素ですが、頭皮が汚れで覆われていると、皮膚呼吸が妨げられ、髪の毛を作り出す毛母細胞への酸素補給が不足します。すると毛母細胞は次第に弱ってゆき、その結果、髪の毛が細くなったり、抜けたりします。
【汚れの原因】
●シャンプー回数の不足
●シャンプーのときの洗い残し
●洗浄力の弱すぎるシャンプーの使用など
頭皮の汚れで酸素不足になります
②頭皮の肌荒れ

 洗浄力の強いシャンプーを使用したり、間違った洗い方で頭皮の肌荒れが起きてしまうと、フケやかゆみ、炎症などの様々な頭皮トラブルを引き起こし、髪はしっかりと成長できずに細くなったり抜けたりします。代表的なのが、「皮脂は育毛の大敵」という間違った認識により、皮脂を根こそぎ取ろうとして長時間頭皮を洗ったり、シャンプー時にブラシなどを使用して頭皮を傷めるケースです。
【荒れの原因】
●シャンプーの選択ミス
●頭皮を洗いすぎるなどの間違ったシャンプー法
●頭皮に刺激を与えるなどの間違った育毛法
③ストレスなどによる血行障害

 髪の成長の源は、髪の毛よりもさらに細い毛細血管をとおして、毛母細胞に供給される酸素と栄養素です。
 ストレスを受けると毛細血管が収縮するため、血流が滞りがちになり、毛母細胞の酸素不足と栄養不足を招きます。また、年齢とともに毛細血管にコレステロールなどが溜まりはじめたり、毛細血管が衰えてくると、毛母細胞に供給される酸素と栄養素が少なくなるので、髪が細くなったり抜けたりします。
【血行障害の原因】
●ストレス
●コレステロールの蓄積
●毛細血管の衰え
ストレスなどによる血行障害
④頭皮下の老廃物

 髪の毛には体内の消化しきれなかった老廃物を排泄する機能が備わっています。そのため、頭皮の下には血流によって老廃物が運ばれます。髪はこの老廃物を取り込みながらつくられ、体の外へと伸びてゆきます。
 ところが、髪の毛の排泄機能を超える多量の老廃物が頭皮の下に蓄積すると、毛母細胞は弱ってしまい髪は抜け落ちてしまいます。本来は飲み薬や塗り薬の常用が招く現象ですが、健康食品の普及に伴い、サプリメントなどの多用による老廃物の蓄積が、大量の抜け毛を招くケースが急増しています。
【老廃物の原因】
●飲み薬や塗り薬(頭皮、全身含む)の常用
●サプリメントの多用
●加齢
老廃物が蓄積し、毛母細胞が弱る

7.男性ホルモンは薄毛の原因ではない

 「男性ホルモンが多いとハゲになる」という説がありますが、この説は「男性ホルモンが血流によって毛根にたどりつき、ある種の働きをして毛根をだめにする」という非常に曖昧な論法からきています。もしこの説が正しければ、男性ホルモンが最も多く分泌される青年期から壮年期にかけて、総ての男性はツルツルになってしまいますが、現実にはほとんどの男性の髪は豊かです。
 このことからも男性ホルモンが薄毛の原因ではないことをご理解いただけると思います。
 人の身体に生えている毛の中で、性ホルモンに影響される毛は、腋毛、恥毛、男性のヒゲ、スネ毛などで、これらの毛は、思春期に至り、性ホルモンの分泌にともなって、生えたり濃くなったしますが、生まれた時にすでに備わって いる髪の毛や、眉毛、まつ毛などは、性ホルモンに影響されるものではありません。

8.毛穴はなくならない

 元々ある毛穴がなくなることはありません。たとえば皮膚の一部がむけてしまっても元に戻るように、毛穴は何らかのトラブルによって一時的にふさがっても条件が整えば元に戻る仕組みになっています。
 つまり、寿命がくる前の髪が抜けると、人体の保護機能が働き一時的に毛穴がふさがれますが、毛穴は頭皮がへこんでできていますので、頭皮がすこやかならいつでも元の毛穴が再生して、新しい髪の毛が生えてきます。



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